以下"P"でページの指定されている文章は、スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫より引用しました。
P18より引用
- 実際の仕事を学びながら人間性をみがき、克己心(こっきしん)を養うことができれば、人は正しい規律を身につけ、自らの義務や仕事をうまくこなしていけるようになる。このような教育は書物からは学べず、学校の単純な授業からも得られない。
ベーコンはこう語っている。
「どんな学問や研究も、それ自体をどう使えばいいかについては教えてくれない。その一方、現実生活をよく観察すれば、学問によらずとも学問にまさる知恵を身につけることができる」
なにかここに現代人の足りないものがある気がする。
現代人にとって人間性をみがくとか、克己心、規律、義務などという言葉は死語に近いだろう。
金を多く持ってる人が偉く、金を効率よくたくさん稼げる能力を持った人が素晴らしい人間という事になっている。あるいは金を権力に置き換えてもこの文章は成り立つかもしれない。
金と権力。これが現代人の活力の源である。
そこでは、克己心とか、規律とか、義務とか、礼儀とか、そんなものはどうでもいいか、あるいは、金と権力のためにメリットがあれば、それを採用する、そんなスタンスであろう。
現代人は何故そのようになってしまったを考えるに、やはり現場での労働の軽視にあるだろう。
農民、漁民、大工等々、現場で実際に働いている人々の事を軽視しているのが現代人であり、いまのところそれは許されている。
衣食住のほんとうに大切なものを供給してくれる人々を軽視し、娯楽や権力の奪取方法、金の増やし方の上手な人に羨望が集まり、重要視されている。
このことは都会がエラく、田舎は馬鹿にされる対象になっていることでも、証明される。
現代社会において偉いとされている人物たちは、自分の身を守る服を作ることも出来ず、自分の胃袋を満たすために、漁をしたり、畑を耕したり、あるいは毒キノコとふつうのキノコを見分けるなど、ましては自分の住む場所を自分で建設することなども出来るはずもない。
現代のエラい人たちは、自分で生きていくことはできない。誰かに服を作ってもらい、食べるものを用意してもらい、住む所を作ってもらい、そうでないと生きて行けない。それが現代のエラい人の真の姿である。
お金がただの紙切れになってしまった時、彼らは生存していけない存在だ。
現代人は、何か、勘違いしているに違いない。
お金や権力があることが、偉いんではなく、人間性そのものが偉い人が、ほんとうに偉い人である。





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